【海と毒薬の感想】宗教がない国日本の方がヤバい場合もある

( ゚∀゚)・∵. 皆さんこんにちわ、れいすけ@reisuke_0429です。

突然ですが、「海と毒薬」という小説を知っていますか?

そう、アメリカ軍の捕虜に対して生体実験をするという恐ろしい事件を題材にしたちょっとグロい小説です。

1945年8月15日に戦争が終わって75年が経過しましたね。

今日紹介する小説は、戦争末期に日本の大学病院で起きた狂気的な事件を題材に書かれたものです。

僕この本読むまで、ホントに漠然とですが、次のような感覚がどこかにありました。

  • 人を殺す人間は頭がおかしい
  • 猟奇的な事件を起こすやつはもっと頭がおかしい
  • 宗教で神の名のもとに人を殺すのも意味不明すぎワロタ

僕は日本人が過去に犯した歴史上現実に存在した事件を知ることはとても大事だと思っています。

その事実から浮かび上がってくる、日本人にありがちな行動パターンが見えてくると僕は思うのです。

  • 多数派に流される
  • 自分が積極的にやろうとしたわけじゃないという言い訳
  • 宗教がないゆえに良心の呵責が薄い場合がある

海と毒薬の感想の記事です。終戦記念日なので、一緒に読んで色々と考えてみましょう。

この記事を書いている"ぼく"のこと

年間100冊程度読書してる雑魚い読書家です。
小説(ミステリ多め)・新書(歴史系多め)・KindleUnlimited好きで、知識のおすそ分けしたく、ブログ書いていますので他の記事も読んでくれると嬉しいです。( ゚∀゚)

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【海と毒薬の感想】宗教がない国日本の方がヤバい場合もある

この本を読んで一番思ったことですが、僕ら日本人って宗教を無駄に怖がっていませんか?

でもこの小説を読むと宗教を持っている外国人(この作品ではドイツ人)の方が倫理観があって、人の死を悼むことが出来るように描かれています。

宗教って暴走しすぎると怖いものかもしれませんが、本来は人の規範となるものなので、信じている人は悪いことをしないし、人に親切にするものなのかもしれません。

逆に宗教がない日本人が大切にするのは立場・空気といった、メンツですよね。

こっちのほうがよっぽど怖い、そう思わせられる作品でした。

海と毒薬の作者 遠藤周作

作者の遠藤周作氏はこんな人です。

名前遠藤周作
生没年1923年(大正12年)生まれ、1996年(平成8年没)
代表作海と毒薬、沈黙、白い人(芥川賞受賞)他多数

12歳のときにカトリックの洗礼を受け、作品最大のテーマもキリスト教であると言われています。

僕は今のところ、「海と毒薬」と「王妃マリーアントワネット」を読みました。

マリー・アントワネットはとても読みやすく、当時の情景、人物の心情がよく表現されていて、面白い。
なので、また別の機会に記事書きたいと思ってます。

その他の詳細はウィキってくださいなw。というわけでカット。

遠藤周作について(WikipediaへGO!)

海と毒薬のあらすじ

この作品は戦争末期、九州にある大学附属病院で米軍捕虜の生体解剖事件を題材にした小説です。

生体解剖。生きたまま人を解剖する・・KAIBOU・・・ふぁっ!?

3人の米人捕虜に対する実験内容が次の3つです。(どれも1,000パー死亡確定です。)

  1. 血液に生理的食塩水を注入し、死亡までの限界量を調べる
  2. 血管に空気を注入し、その死亡までの空気量を調べる
  3. 肺を切除し、死亡までの気管支断端の限界を調べる
係員

文字で見るのもかなりエグい・・・

ストーリーはシンプルですが、実験参加者である3人に焦点を当て、それぞれが参加するまでの経緯、参加した後の心の変化を描いているお話です。

3人はそれぞれ歩んできた人生、性格も全く違います。

1人め、下っ端医師の勝呂氏(すぐろ)のお話

どこか心のなかでヤバいことをやっていると自覚がありつつも、上司に逆らえず、参加を曖昧に受け入れる。

だけど最後はビビって参加を拒否し、手術室の端で縮こまってるやつ。

上官

新世紀エヴァンゲリオンの碇シンジか貴様、逃げるな!

2人め、オペ看護師さん 上田ノブ氏のお話

夫について満州まで行ったのに不倫されて捨てられ、妊娠した子は死産。

なかなかに壮絶な人生を歩むオペ看の女性です。

実験の執刀医である教授の妻ヒルダ(ドイツ人)が聖女すぎるのために嫌な感情を持ちます。

患者の病状が悪化したけれど、教授の指示がないので自分の不作為により患者を死なせそうになったとき、ヒルダに怒られる。

その時のヒルダさんのお言葉

死ぬことが決まっても、殺す権利はだれもありませんよ。神様がこわくないのですか。あなたは神様の罰も信じないのですか。

遠藤周作著「海と毒薬」より

正論を吐かれ、見返すために参加することになるタイプ

実験後は自分が重大な秘密を知っていることに優越感を感じる。そんな女性ですかね。

3人め、下っ端医師の戸田氏(勝呂の同僚)のお話

良心の呵責がない自分を不思議に思っていて、解剖実験した後の心境を知りたくて参加する勝呂の同僚医師。

参加前
「これをやった後、俺は心の呵責に悩まされるやろか。自分の犯した殺人に震えおののくやろか。生きた人間を生きたまま殺す。こんな大それた行為を果たした後、俺は生涯苦しむやろか。この人達も結局俺と同じやな。やがて罰せられる日が来ても、彼等の恐怖は世間や社会からの罰にたいしてだけだ。自分の良心にたいしてではないのだ。」

参加後
「俺が恐ろしいのは自分の殺した人間の一部分を見ても、何も感じず、何も苦しまないこの不気味な心なのだ。」

遠藤周作著「海と毒薬」より

みんなタイプ違うけれど、積極的に殺人を犯すタイプではありません。
(病院の医者と看護師だからね・・・。)

海と毒薬の感想

実際その立場に自分がいたら、断れるんだろうか?

もし、自分が勝呂の立場だったら、断ることが出来ただろうか?

多分無理なんだろうな。と大人になり、一定の立場を持った自分は思いますね。

戦争中という絶対に断れない世の中、病院という狭い組織。

良心の呵責は多分あると思うけど、空気がそれを許さないと感じるだろうと思いました。

空気とかいう、とっても曖昧な自分の意思じゃないもののせいにして。

いや、戦争という時代なら良心の呵責があったかすらもわかりません。

あなたはどう思いますか?

神のいない日本人と神のいる外国の人 どっちが危ないのだろうか?

イスラム国みたいな、テロ集団が横行するとどうしても宗教が怖いと感じてしまいます。

僕は無宗教なので、

  • クリスマスにはケーキを食べますし、(キリスト教)
  • お盆にはお寺へ墓参りにも行き、(仏教)
  • 年始には神社へお参りします。(神道)

日本人て大半がそうですよね。

神の存在を信じているかと問われれば、いないっしょwwとも思うけど、ヤバいと思ったら神に祈ったりもする。

作中、ヒルダさんが神の罰を引き合いに出し、人を殺めてはいけないのだと、命の尊さをときます。

クリスチャンの遠藤周作氏はもしかしたら日本人に欠けているいるものは「宗教による倫理観」と言いたかったのかな?とも思います。

良心を担保しているものといいますか。

宗教があるから怖い、ないから日本は安全だ!などと単純な二元論で済む話ではなく、むしろ良心の担保と言うか、基地がない日本人こそ、危ないのかもしれない。

だからいじめやネットの誹謗中傷で人が自殺するまで追い込むことが出来る人間が生まれてくるのではないだろうか?

僕はこの作品を読んでてそう思いました。

海と毒薬から学ぶ日本人論

戦争では日本人であるかどうかを問わず、本当にたくさんの命が失われました。

こんなことは二度と起きてほしくないし、今戦争するよってなっても誰が徴兵されてたまるものかと思います。

でも、それを許さない世の空気になったら?
周りがみんな応じるような空気になったら自分は拒否することができるんだろうか?

それは仕事の場で、学校で、部活で、自分だけが違う意見になったら、例えそれが正しいとしてもハッキリと言うことが出来るんだろうか?

考えれば考えるほど、なんと難しいことなんだろうと思ったのでした。

今年の夏の一冊にぜひ一緒に読みましょう!

次に何読むか迷ったらKindle Unlimitedで定額読書しましょう。
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