東野圭吾最新作のクスノキの番人てどんな感じなんだろう??
今回はミステリー?ヒューマン系?
本記事では2020年3月に出た東野圭吾最新作「クスノキの番人」について書評を書いていきます。
僕も5月になって連休でようやく読めたのですが、人間ドラマ主体の心温まるとてもいいお話でした。
殺人事件ばかりが東野圭吾じゃありません。個人的にはこういうヒューマン系が真価を発揮すると思っています。
事件系でも人間ドラマが秀逸で、文章も脳内再生しやすい表現でわかりやすく書かれているので、とても読みやすいですよね。
今作は人間のドロドロしたような部分はあまりありません。
私欲ではなく、人のために動こうとする人々による、きれいな物語です。
【クスノキの番人】あらすじ
それでは、あらすじの紹介から。
その木に祈れば、願いが叶うと言われているクスノキ。
読書メーターの紹介文より転載
その番人を任された青年と、クスノキのもとへ祈念に訪れる人々の織りなす物語。不当な理由で職場を解雇され、その腹いせに罪を犯し逮捕されてしまった玲斗。
同情を買おうと取調官に訴えるが、その甲斐もなく送検、起訴を待つ身となってしまった。そこへ突然弁護士が現れる。依頼人の命令を聞くなら釈放してくれるというのだ。
依頼人に心当たりはないが、このままでは間違いなく刑務所だ。そこで賭けに出た玲斗は従うことに。
依頼人の待つ場所へ向かうと、年配の女性が待っていた。千舟と名乗るその女性は驚くことに伯母でもあるというのだ。あまり褒められた生き方をせず、将来の展望もないと言う玲斗に彼女が命令をする。「あなたにしてもらいたいこと|。それはクスノキの番人です」と。
『秘密』『時生』『ナミヤ雑貨店の奇蹟』に続く新たなエンターテインメント作品。長編書き下ろし。
【クスノキの番人】登場人物を紹介
今作の登場人物を絞って確認しましょう。
不倫の末に生まれた子だから親父は知らないし母も死んだ。これからも流れに身を任せて生きていくさ。
実は社務所の管理主任なので作務衣着ています・・・。
私はかつてビジネス会で女帝と言われた玲斗の叔母の千舟です。
玲斗。その言葉遣い、もっと正しい敬語を使うよう気をつけなさい。
【クスノキの番人】見どころポイント
スピリチュアルな雰囲気が好き
祈念には以下のルールがあります。
・祈念の内容は極秘
・誰かの死を願うこともできる
・願いが叶うとは限らない
クスノキへ満月、新月に祈念をすると願いが叶う。
スピリチュアルな雰囲気がたまらなくワクワクしました。
宗教に入る気持ちはわかりません(無宗教なので)が、神社などの神々しい雰囲気は好きなので、夜・満月・神社で祈念。僕にとってのパワーワードでした。
千舟さんのキャラクターが好き
玲斗の叔母さんである千舟(ちふね)さん。僕はこの人、強烈に好きです。
玲斗の母親の異母姉にあたるこの女性。これまで全く関わりがなかったのにも関わらず、玲斗が逮捕された際になぜか突然スーパー弁護士を雇って助けてくれます。
そして弁護士費用を立て替える代わりにクスノキの番人を命じるのです。
あなた・・・
・敬語くらい正しく使いなさい。
・ドアを開ける前に必ずノックしなさい
・開き直りはやめなさい
・橋はきちんと持ちなさい。みっともない。
・一張羅くらい持ちなさい。etc…
この千舟さん・・・ビジネスの世界で絶対的な成果を出し、世間では「女帝」と評されるお方。まさに絶対王者。そして結構口うるさい
長らく付き合いが無かった叔母と甥との関わりはなぜ始まったのか。
その理由はただクスノキの番人をさせたいだけではなく、玲斗の世話を焼くのはもっと別の理由があるのです。
僕はこういう「いつも厳しいのに本当は優しい女性」が大好きです。
イメージは漫画ベルセルクのフローラで再生していました。
ヒューマン・ドラマが好き
人が死なず、殺されず、終始落ち着いた雰囲気で話は進み、祈念とは一体なんなのかという謎をについて、人間ドラマを通して明かされることになります。
祈念のルールが生み出す人間ドラマ。なぜ人々はクスノキに祈念をするのか。
祈念とはいったいなんなのか。
そして千舟さんの本当の目的はいったいなんなのか。
千舟さんのことどんだけお気に入りなんすか・・。B○A専すか・・
は?あなた今なにかいいましたか?
アマゾンレビューや読書メーターを見ていたら、平和な謎で・・・微妙・・という感想もあるみたいです。
確かにいつもに比べたら事件性0でパンチは弱いのかもしれません。
ですが、人間ドラマを書いたらそれはさすが東野圭吾氏。
ナミヤ雑貨店や秘密、手紙が好きな方は、絶対気にいると思いますよ。
必ず温かい気持ちになれると思います。
【クスノキの番人】感想まとめ
そんな小説です。
よくナミヤ雑貨店の奇蹟が引き合いに出されていますが、僕はこちらのほうが好きです。
なによりも千舟さんと玲斗の関係がとても心地よかったです。
ぜひ読んでみてください。
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